審査結果発表

第2回やなせたかし文化賞

第2回やなせたかし文化賞 受賞者発表会

選定委員 総評

  • 里中 満智子選定委員長 マンガ家

    この世にはいろんな世界があり、いろんな人がいて、いろんな考え方があって、だからいろんな生き方がある。子供たちがそういうことに気づくきっかけになるといいなぁ…。今回寄せられた候補作に触れながらそう思いました。ここには子供の心を育てる世界がいっぱいあります。是非触れてみてください。子供だけでなく大人も。
  • 内川 雅彦高知新聞社 編集局 編集オピニオン室

    前回と比べて、最終選考に絵本が多く残りました。選考の決め手になったのは、作者の考え方、理念だったような気がします。ひときわ印象に残り、また驚いたのは大賞の「NPO法人ぷるすあるは」さんの「生きる冒険地図」です。描かれているのは物語ではなく、子どもを取り巻く厳しい現実です。「子どものため」を考え、伝えたい情報を凝縮した1冊といえます。
  • 梯 久美子ノンフィクション作家

    選考の過程で、多くのすぐれた作品や、継続して行われてきた良心的な活動と出会い、困難な時代を生きる子どもの力となる表現とはなにかを深く考えさせられた。NPO法人ぷるすあるはをはじめ、受賞者はみな、子どもたちの日常を支えたいという真摯な思いを、高い芸術性をもつ作品や活動に昇華させている方たちである。子どもたちには、生きる力をはぐくむ芸術にふれる機会を多くもってほしい。この賞がその一助になることを願っている。
  • 田島 真紀認定NPO法人高知こどもの図書館館長

    文化賞は、それぞれの分野において既に素晴らしい実績をお持ちの上、今後のご活躍も期待されている、正にこの賞に相応しい方々の受賞となりました。どなたの作品からも、作り手の大らかなお人柄や誠実さ、ユーモアが伝わってきました。こどもたちの成長過程で、是非出会って欲しい作品です。大賞を受賞されたぷるすあるはさんの活動がこの機会に広く知られ、精神保健に関する認知度が高まり、社会全体の意識向上につながることを期待します。
  • 立原 えりか童話作家

    かがやく星の受賞者が並んで、うれしく誇らしい気持ちです。やなせたかし文化賞にふさわしい受賞者を選出することができました。選出のために、数多のクリエーターと作品に向き合いました。おろそかにはできない厳しさを踏まえたおつきあいでしたが、豊かな楽しい時間でした。機会をあたえていただけたことに感謝します。
  • 早川 史郎作曲家

    この文化賞を目指して表現の分野で幅広く活躍されている方々が多数ご参加下さったことを嬉しくまた力強く思いました。やなせたかしさんが日頃さまざまな分野での活動に興味や関心を持ちながらその人達とのつながりを大切にしていられたことを思いおこし、あらためてこの賞の意義を強く感じとることができました。
    今回、賞の選考にあたり最も心にかけていたことは、わたしたち大人が描き・作り・演じたいろいろな表現が子どもたちにどのように伝えられ、それが子どもたちの心をどう動かし感性や表現の育ちにどう関わることができるかを考えることでした。そして幸いなことにこの考えは豊かに満たされました。
  • 牧野 鈴子イラストレーター

    受賞された皆さんの作品はどれも子供に知ってほしいこと、感じて欲しいことが的確に表現されていて、ページをめくるたびに静かなメッセージとして伝わってきて、胸を打たれたり、ユーモアのセンスに思わず笑ったりと、大人の心にも響くものでした。
    しかもワークショップやライブイベントなど、子どもたちと直接触れ合う活動もされていて、皆さんがまるで子供の味方「アンパンマン」のようで頼もしく思いました。
  • 山根 青鬼漫画家

    受賞者の皆さん、おめでとうございます。
    今回、受賞された方々の作品を拝見させて頂きましたが、全体に子供に分かり易いストーリーであり、又、大人(親)と共に読みたくなる内容が目立ち、とても微笑ましい雰囲気を感じました。
    今までに無い絵本の世界を見る事が出来て、喜びを感じると共に将来が楽しみです。やなせ先生も、あの星の世界でさぞかし喜んでおられる事でしょう。

第2回受賞者展

  • PHASE1第2回受賞者展
    特別展示

    大賞を受賞したNPO法人ぷるすあるはの「特別展示」を別館で開催しました。ぷるすあるはの精神保健サポートを担う活動を紹介するとともに、メンバーの一人であり、発表されているコンテンツ全てのイラストを担当する細尾ちあき氏の原画や立体作品など81点を展示。来館者は独自の世界観に心を掴まれた様子で、時間をかけて鑑賞される方が多く見受けられました。
    また、原画を主軸にこれほどの作品数で展覧会を行うのは初ということもあり、ぷるすあるはの皆さんが拠点とされる浦和より何度もご来館くださり、会場での反応を確かめておられたことも印象的でした。

  • PHASE2第2回受賞者展
    前期

    詩とメルヘン絵本館で行われた「前期」では、絵本作家の西村繁男氏、絵本作家・イラストレーターのヨシタケシンスケ氏のお二人を中心に、大賞を受賞したNPO法人ぷるすあるはの絵本や立体作品なども展示しました。
    西村氏の絵本『にちよういち』の原画を懐かしそうな表情で見るご年輩の方や、ヨシタケ氏の原画を食い入るように見つめる若い世代の方など、幅広い世代の方々にお楽しみいただいた展覧会となりました。

  • PHASE3第2回受賞者展
    後期

    詩とメルヘン絵本館で行われた「後期」では、絵本作家の鈴木のりたけ氏と長谷川義史氏の絵本原画などを展示するとともに、NPO法人ぷるすあるはの作品も一部入替えをして展示を行いました。
    また、2022年12月24日(土)には「長谷川義史ミニ絵本ライブ」を開催。受賞者展で原画を展示した『たこやきのたこさぶろう』(小学館、2016年)の読み聞かせから始まり、ストーリーに沿って絵が描き加えられる「ライブ紙芝居」では長谷川氏のユーモアあふれるトークも加わって笑い声の絶えない楽しい雰囲気となりました。
    そして、2023年2月5日(日)には「鈴木のりたけミニ絵本ライブ」を開催。新幹線運転士から絵本作家となった鈴木氏の自己紹介から始まり、集まった来場者に様々な質問を投げかける対話型の絵本ライブとなりました。「新幹線絵かき歌」では来場者たちも、さまざまな新幹線の絵を描きあげました。