審査結果発表

第3回やなせたかし文化賞

賞金:50万円副賞:メダル
いわいとしお / 岩井俊雄 絵本作家 メディアアーティスト

プロフィール

1962年愛知県西尾市吉良町生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。子どもの頃に母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、ものづくりに目覚める。大学時代に実験アニメーション制作を始め、1985年に、驚き盤やゾートロープなど19世紀の映像装置を進化させた《時間層II》で「第17回現代日本美術展」大賞を最年少受賞。その後、メディアアーティストとして国内外の美術館でコンピュータを使ったインタラクティブな作品を多数発表しつつ、『ウゴウゴルーガ』などのテレビ番組やゲームソフト制作などで幅広く活動を展開する。2000年代に娘との手作りおもちゃをきっかけに絵本制作を始め、「100かいだてのいえ」シリーズ(偕成社)が大ヒット。子どもや親子にものづくりの楽しさを伝えるワークショップを多数開催している。

著書

絵本

  • 『100かいだてのいえ』 (偕成社、2008年)
  • 『ちか100かいだてのいえ』 (偕成社、2009年)
  • 『うみの100かいだてのいえ』 (偕成社、2014年)
  • 『そらの100かいだてのいえ』 (偕成社、2017年)
  • 『もりの100かいだてのいえ』 (偕成社、2021年)
  • 『ぬまの100かいだてのいえ』 (偕成社、2023年)
  • 『どっちがへん?』 (紀伊國屋書店、2006年)
  • 『どっちがどっち?』 (紀伊國屋書店、2006年)
  • 『どっちがピンチ?』 (紀伊國屋書店、2006年)
  • 『どっちがへん?スペシャル』 (紀伊國屋書店、2012年)
  • 『ゆびさきちゃんのだいぼうけん』 (白泉社、2016年)
  • 『ぼく、ドジオ。』 (小学館、2016年)

その他

  • 『岩井俊雄の仕事と周辺 (Artist,Designer and Director SCAN) 』 (六耀社、2000年)
  • 『いわいさんちへようこそ!』 (紀伊國屋書店、2006年)
  • 『いわいさんちのリベットくん』 (紀伊國屋書店、2007年)
  • 『アイデアはどこからやってくる?』 (河出書房新社 、2010年)
  • 『光のえんぴつ、時間のねんど~図工とメディアをつなぐ特別授業』 (美術出版社 、2009年)
  • 『すうじかるた 100かいだてのいえ』 (偕成社、2016年)

ウェブサイト

受賞歴

  • 1982年 第1回OMNIアートコンテストデザイン&アート部門 佳作
  • 1985年 ハイテクノロジーアート公募展'85 金賞
    第17回現代日本美術展 大賞
  • 1995年 マルチメディアグランプリ95」シアター展示部門 最優秀賞
  • 1996年 アルスエレクトロニカ97(オーストリア・リンツ) インタラクティブアート部門 ゴールデン・ニカ賞
  • 1997年 第19回日本文化デザイン賞
    マルチメディアグランプリ '97 MMCA会長賞
  • 2000年 I.D. Interactive Media Design Review(アメリカ・ニューヨーク)ゴールドメダル
  • 2005年 グッドデザイン賞 インタラクションデザイン賞
  • 2007年 第6回織部賞
  • 2009年 第12回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門 大賞
    第59回芸術選奨メディア芸術部門 文部科学大臣賞
  • 2010年 第3回 子どもの絵本大賞 in 九州 第1位
  • 2011年 第2回 箕面・世界子どもの本アカデミー賞 絵本賞
  • 2014年 第3回 静岡書店大賞 児童新作部門 第1位

受賞コメント

  • いわいとしお / 岩井俊雄
    突然の受賞のお知らせにとても驚きました。やなせたかしさんのことを初めて僕が知ったのは、アニメ『やさしいライオン』です。子どものころにテレビで観て、他のテレビアニメとはまったく違う線のタッチや色使いに一瞬で魅了されました。その時の体験は今でも鮮烈に思い出せますし、心の奥で、作家として独自の世界を作る指標にもなっている気がします。このような光栄な賞をいただき、少しでもご縁ができたことがうれしいです。

選定委員 選評コメント

  • 里中満智子(マンガ家)
    100かいだて…シリーズはいつも楽しく新しい視野に気付かされる。
    気付くことが人間の幅広さにつながる。
    そんな世界を子供達に与え続けている姿勢が素晴らしい。
  • 梯 久美子(ノンフィクション作家)
    以前から「100かいだてのいえ」シリーズに魅了されていたが、今回、仕事の全体像を知り、活動領域の広さに驚いた。その全部が面白くてワクワクする。新しさと同時にある種の懐かしさがあり、普遍的な魅力を感じる。
  • 黒井 健(絵本画家・イラストレーター)
    「100かいだてのいえ」シリーズなどの多くの絵本を出版。今後もメディアアーチストとしての視点から絵本に限らず子どもたちへの楽しみを提供できることを期待しています。
  • 早川 史郎(作曲家)
    いわい氏の研究、19世紀映像装置において、今忘れられ無視されているメディアの特徴を再び探りあて掘り起し実験していく過程から絵本「100かいだて・・・・」の構想が浮かびあがったのではと感じた。良い絵本の発想はさまざまな分野との深いつながりから生み出されるのだと。
  • 山根 青鬼(漫画家)
    「100かいだて」シリーズはいつ見ても面白い。たて長の本といい、内容は子ども達にとって夢と希望を与えるものとして最高だ。