審査結果発表

第2回やなせたかし文化賞

賞金:50万円副賞:メダル
長谷川義史 絵本作家

プロフィール

1961年大阪府生まれ。グラフィックデザイナーを経て、2000年『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)で絵本デビュー。『いいからいいから』(絵本館)『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社)『おならまんざい』(小学館)など、ユーモラスでおおらかな絵本が大人から子どもまで人気。また社会派なテーマにも意欲的に取り組んでいる。『おたまさんのおかいさん』で第34回講談社出版文化賞絵本賞、 『ぼくがラーメンたべてるとき』で第13回日本絵本賞と第57回小学館児童出版文化賞、『あめだま』で第24回日本絵本賞翻訳絵本賞など、多数受賞。

著書

絵本

  • 『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』 (BL出版、2000年)
  • 『スモウマン』 (絵・長谷川義史、文・中川ひろたか、講談社、2002年)
  • 『おたまさんのおかいさん』 (絵・長谷川義史、文・日之出の絵本制作実行委員会、解放出版社、2002年)
  • 『かあちゃんかいじゅう』 (絵・長谷川義史、作・内田麟太郎、ひかりのくに、2003年)
  • 『いろはにほへと』 (絵・長谷川義史、文・今江祥智、BL出版、2004年)
  • 『いろはのかるた奉行』 (講談社、2005年)
  • 『きみたちきょうからともだちだ』 (絵・長谷川義史、文・中川ひろたか、朔北社、2005年)
  • 『やまださんちのてんきよほう』 (絵本館、2005年)
  • 『いいからいいから』 (絵本館、2006年)など「いいからいいから」シリーズ
  • 『おへそのあな』 (BL出版、2006年)
  • 『ぼくがラーメンたべてるとき』 (教育画劇、2007年)
  • 『てんごくのおとうちゃん』 (講談社、2008年)
  • 『だじゃれ日本一周』 (理論社、2009年)
  • 『しげちゃん』 (絵・長谷川義史、作・室井滋、金の星社、2011年)
  • 『かもとりごんべえ』 (絵・長谷川義史、文・令丈ヒロ子、講談社、2012年)
  • 『おかあちゃんがつくったる』 (講談社、2012年)
  • 『へいわってすてきだね』 (絵・長谷川義史、詩・安里有生、ブロンズ新社、2014年)
  • 『だじゃれ世界一周』 (理論社、2017年)
  • 『おにのパンツ』 (フレーベル館、2018年)

エッセイ

  • 『絵本作家のブルース』 (読書サポート、2019年)

翻訳書

  • 『どこいったん』 (作 ジョン・クラッセン、訳・長谷川義史、クレヨンハウス、2011年)
  • 『あめだま』 (作 ペク・ヒナ、訳・長谷川義史、ブロンズ新社、2018年)
  • 『マンマルさん』 (文 マック・バーネット、絵 ジョン・クラッセン、訳・長谷川義史、クレヨンハウス、2019年)
  • ほか

受賞歴

  • 2003年 『おたまさんのおかいさん』(解放出版社、2002年)
    第34回講談社出版文化賞「絵本賞」
  • 2004年 『かあちゃんかいじゅう』(ひかりのくに、2003年)
    第14回けんぶち絵本の里大賞「大賞」
  • 2005年 『いろはにほへと』(BL出版、2004年)
    第10回日本絵本賞
  • 2007年 『おへそのあな』(BL出版、2006年)
    第17回けんぶち絵本の里大賞「大賞」 
  • 2007年 『いいから いいから』(絵本館、2006年)
    第17回けんぶち絵本の里大賞「びばからす賞」
  • 2008年 『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇、2007年)
    第13回日本絵本賞、第57回小学館児童出版文化賞、
    第1回MOE絵本屋さん大賞第6位、
    第54回青少年読書感想文全国コンクール(小学校低学年の部)の
    課題図書
  • 2008年 『いいから いいから3』(絵本館、2008年)
    第19回けんぶち絵本の里大賞「大賞」
  • 2008年 『てんごくのおとうちゃん』(講談社、2008年)
    第19回けんぶち絵本の里大賞「びばからす賞」
  • 2010年 『だじゃれ日本一周』(理論社、2009年)
    第3回MOE絵本屋さん大賞第3位
  • 2011年 『いいから いいから4』(絵本館、2010年)
    第21回けんぶち絵本の里大賞「びばからす賞」
  • 2012年 『おへそのあな』(BL出版、2006年)
    第4回ようちえん絵本大賞 公益財団法人全日本私立幼稚園幼児
    教育研究機構理事長賞
  • 2012年 『どこいったん』(クレヨンハウス、2011年)
    第5回MOE絵本屋さん大賞第2位
  • 2014年 『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社、2014年)
    第7回MOE絵本屋さん大賞第1位
  • 2018年 『あめだま』(ブロンズ新社、2018年)
    第11回MOE絵本屋さん大賞第6位
  • 2019年 『あめだま』(ブロンズ新社、2018年)
    第24回日本絵本賞翻訳絵本賞・日本絵本賞読者賞【山田養蜂場賞】
  • 2020年 『マンマルさん』(クレヨンハウス、2019年)
    産経児童出版文化賞「翻訳作品賞」

受賞コメント

  • 長谷川義史
    子どもの頃校庭でみんなで歌った『手のひらを太陽に』、子どもたちが生まれて毎日のように観た『アンパンマン』。 その作者のやなせたかしさんの思いのこもった賞をいただけるとは、なんだか、まさかな嬉しい嬉しいことです。 これを励みに、これからも子どもたちが笑顔になってくれるような絵本を描いていきたいな、いかなければと思っています。感謝です。

選定委員 選評コメント

  • 里中満智子
    「ぼくがラーメンたべてるとき」は全ての子供(大人にも)たちに読ませたい名作。他者への想像力が優しさを生む。「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」は実に素直で楽しい「気付くことの大切さ」を教えてくれる。
  • 内川雅彦
    力強さとぬくもりが伝わる絵、楽しい中にも考えるヒントがあるストーリーにひかれました。「ぼくがラーメンたべてるとき」では、平和な日本と対照的にほかの国の子どもはお手伝いをしています。作者の視点がうかがえます。
  • 梯久美子
    「ぼくがラーメンたべてるとき」は、近年の絵本の中でも名作といっていい。いろいろな子どもの何気ない日常をつなげていくことで、やがて、いま同じ地球の上で何かが見えてくる。静かで強い衝撃を読み手に与える作品。「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」は、1枚1枚の絵に歴史のディテールがつまっていて、読み返すたびに発見がある。そのほかの作品群からも、面白さと社会性を兼ね備えた圧倒的な才能を感じる。
  • 田島真紀
    文句なしに楽しい絵本から、人権・平和をテーマにした絵本まで、長谷川さんの作品は幅広く、画風からは力強さを感じます。また、ライブ活動では、ご自身も楽しみながら観客との一体感をつくり、絵本の世界同様にみんなを笑顔にする、素晴らしいパフォーマーだと思います。
  • 早川史郎
    長谷川氏の作品群は、子どもの存在とそれを見つめる大人との温かく深い繋がりによって組み立てられ、さらにその表現力によって高められていると感じた。子どもたちが息をのんで次のページを開く姿が目に浮かんでくる。
  • 牧野鈴子
    絵はおもしろく明るく子供に受け入れられるタッチなのに、読み進むうちに胸にグイグイ迫まってきて、子供に知って欲しいこと、感じて欲しいことがきちんと描かれている。特に「ぼくがラーメンたべてるとき」は、平和について考えさせられて胸に刺さる。
  • 山根青鬼
    先ず、大胆な絵と構図に驚く。失礼だが、子供が描いた様なタッチの絵なので、読者も安心して読めるのだろう。「おおにしせんせい」では、色の使い方から描きたい物に対する、観察力を養う指導力は、読者の心に強く残るだろう。「ぼくがラーメンたべてるとき」では、世界にはラーメンも食べられない子供もいる事を思わせ、考えさせられるストーリーだ。「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」では、ひいおじいちゃんを訪ねて行く過程で、その時代も良く分かり、「ひい」の繰り返しが面白い。