審査結果発表

第3回やなせたかし文化賞

賞金:50万円副賞:メダル
鈴木まもる 画家・絵本作家・鳥の巣研究家

プロフィール

1952年東京に生まれる。東京藝術大学中退。 「せんろはつづく」「ピン・ポン・バス」など乗り物シリーズや『みんなあかちゃんだった』など、あかちゃん絵本、恐竜や動物など多様な絵本を描きつつ、山の中で偶然鳥の巣を見つけ、その造形性に魅了され研究を始める。アジア、アフリカ、ニューギニアなど鳥の巣を求め放浪。海外の研究者とも交流を深め、絵本や鳥の巣の展覧会、講演会、ワークショップなどで鳥の巣の不思議や魅力、生命の大切さをを伝えている。

著書

主な絵本の仕事

  • 『せんろはつづく』(2003年)、『つみきでとんとん』(2005年)、『すすめ!きゅうじょたい』(2014年)、『てをつなぐ』(2017年)、『どこからきたの?おべんとう』(2020年)、『火の鳥 いのちの物語』(2024年) (金の星社)
  • 『みんなあかちゃんだった』(2000年)、『だっこ』(2016年)、『みずとは なんじゃ?』(2018年) (小峰書店)
  • 『ピン・ポン・バス』(1996年)、『おはよう!しゅうしゅうしゃ』(2015年)、『いそげ!きゅうきゅうしゃ』(2017年) (偕成社)
  • 『だんろのまえで』(2008年) (教育画劇)
  • 『ウミガメものがたり』(2016年) (童心社)
  • 『いのちのふね』(2011年)、『つかまえた!』(2014年) (講談社)
  • 『戦争をやめた人たち』(2022年) (あすなろ書房)

鳥の巣を扱った書籍

  • 『鳥の巣の本』(1999年)、『世界の鳥の巣の本』(2001年)、『ぼくの鳥の巣コレクション』(2000年)、『ニワシドリのひみつ』(2014年)、『鳥の巣つくろう』(2017年) (岩崎書店)
  • 『鳥の巣みつけた』(2002年)、「鳥の巣研究ノート1・2」(2004年) (あすなろ書房)
  • 『ぼくの鳥の巣絵日記』(2005年)、『鳥の巣いろいろ』(2006年)、『ふしぎな鳥の巣』(2007年)、『鳥の巣ものがたり』(2007年)、『ツバメのたび』(2009年)、『日本の鳥の巣図鑑 全259』(2011年) (偕成社)
  • 『バサラ山スケッチ通信(1)山のくらしと動物たち』(2005年)、『バサラ山スケッチ通信(2)ぼくの鳥の巣探検』(2006年)、『バサラ山スケッチ通信(3)世界の鳥の巣をもとめて』(2007年) (小峰書店)
  • 『おじいさんとヤマガラ』(2013年) (小学館)
  • 『世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑』(2014年) (ブックマン社)
  • 『ぼくのたからもの』(2015年)、『鳥は恐竜だった』(2022年) (アリス館)
  • 『生きものたちのつくる巣』(2015年) (エクスナレッジ)
  • 『わたり鳥』(2017年) (童心社)
  • 『巣箱のなかで』(2018年) (あかね書房)
  • 『ニワシドリのひみつをもとめて』(2023年) (理論社)
  • 『身近な鳥のすごい巣』(2023年) (イースト新書)

受賞歴

  • 1995年 「黒ねこサンゴロウ」シリーズ 赤い鳥さし絵賞受賞
  • 2006年 「ぼくの鳥の巣絵日記」 講談社出版文化賞絵本賞受賞
  • 2015年 「ニワシドリのひみつ」 産経児童出版文化賞受賞
  • 2016年 「世界655種、鳥と卵と巣の大図鑑」 あらえびす文化賞受賞
    NHK「プレミアム8―ワイルドライフ、群れで生き抜くーシャカイハタオリ」 出演
    アルベール国際動物映像祭 特別審査員賞受賞
  • 2021年 「あるヘラジカの物語」 親子で読みたい絵本大賞受賞

受賞コメント

  • 鈴木まもる
    このような立派な賞を頂けるとは夢にも思っていなかったのでとても驚きました。
    鳥さんは卵を産みヒナを育てるために鳥の巣を作ります。ぼくは子供が元気に育つよう絵本を作っています。形は違いますが、どちらも子供が元気に育つための物づくりだと思います。丁度、恐竜絶滅から鳥類繁栄という6600万年の鳥の巣の進化の謎の絵本を描きだしたところです。やなせ先生に「元気に絵を描きなさい」と励まされたようで、とても嬉しいです。本当にありがとうございました。

選定委員 選評コメント

  • 里中満智子(マンガ家)
    鳥と卵の丁寧な描写は確かな生命を感じさせてくれる。
    「あるヘラジカの物語」はまた違った視点で生命の意味について伝えてくれる。
    大人になり切る前に真剣に生命を見つめるー子供にとって人間として生きる第一歩を示してくれる。
  • 内川 雅彦(高知新聞社 編集局 学芸部)
    「戦争をやめた人たち」は平和や人間と人間が理解し合うことの大切さを描く。現場の人々が自分たちで決断して戦うことをやめた点が印象的。後世に伝えていく価値のある作品だった。
  • 大木 由香(認定NPO法人高知こどもの図書館館長)
    すでに十分にスポットが当たっている方ではあるが、幅広いジャンル・テーマを丁寧な仕事をされていることを評価したい。
  • 梯 久美子(ノンフィクション作家)
    世界の不思議さと美しさ、平和の大切さを、たしかな技術とあたたかい視線、高い精神性によって伝えてくれる。年齢をへるにつれてより深い意味が分かってくる面があり、ずっとそばに置いて、節目節目で読み返したい作品ばかりだ。
  • 黒井 健(絵本画家・イラストレーター)
    すでに定評があり多くの受賞歴がある作家であるが、出版された作品にはそれぞれに子どもたちへのメッセージが込められている。改めてその制作姿勢と完成度に圧倒される。
  • 早川 史郎(作曲家)
    鳥の巣の造形的魅力をわたしたちに気付かせ伝え続けてくれた絵本と大図鑑、そこに動物たちの強く逞しく生きる姿が美しくやさしくかわいらしく描かれていることに感動!
  • 牧野 鈴子(イラストレーター)
    どの作品も大切に大切に熟成されていて丁寧に誠実に作り上げるその静かな情熱が人の心をとらえる。
  • 山根 青鬼(漫画家)
    「戦争をやめた人たち」「あるヘラジカの物語」「火の鳥」はいずれも「平和」と「命」の大切さを教える貴重な絵本だ。