審査結果発表

第3回やなせたかし文化賞

選定委員 総評

  • 里中 満智子選定委員長(マンガ家)

    ジャンルを問わず幅広い分野から人の心を育てる文化活動に光を当てる─
    他ではとりあげられるチャンスの少ない作品や活動を応援する結果となり、やなせたかし先生の願いである「すみずみまで公平に光があたる世界であって欲しい」が実現している。
    やなせ先生、今回も素晴らしい活動が選ばれました。見てくださっていますよね。
  • 内川 雅彦(高知新聞社 編集局 学芸部)

    最終選考で「リト@葉っぱ切り絵」の精密な造形技術と楽しい物語に評価が集まった。1次選考で残った応募作に絵本が目立つ傾向はこれまで同様だが、障がいのある子どもたちの音楽グループが文化賞に選ばれた。音楽活動に関する解説もあり、意見を出し合い議論を深めた。指導者の熱意と意欲的な子どもたちの姿に感動したとの声が多かった。全体に「子どものための良心的な芸術活動を顕彰・奨励する」という賞の趣旨に沿った選考だと考えている。
  • 大木 由香(認定NPO法人高知こどもの図書館館長)

    「やなせたかし文化賞」に多くの候補者推薦をいただいたことで、多彩な子どもの芸術文化で活動されている方々を幅広く選考できました。ご推薦くださった皆さまに感謝申し上げます。作品の独創性や表現方法について、こどもたちの想像力が広がる活動に、との視点が評価の主軸となりました。選定委員が様々な知見を持ち寄り、当賞に相応しい多角的な選考を行いました。
  • 黒井 健(絵本画家・イラストレーター)

    絵本作家、童話作家、漫画家、活動団体と表現を異にした皆さんで、それぞれすでに主要な賞を受賞されている方々、ベストセラーを連発されている方々と、私にとっては比べようのない難しい選択と思えました。しかし審査員の皆さんも候補者のジャンルをカバーする専門家でしたので、審査が進む中で受賞者がスムーズに浮上していきました。選出された皆さんに共通していることは、子どもたちに伝えたいと強い想いを持って活動されている方々でした。益々の活動に期待し、応援しています。
  • 梯 久美子(ノンフィクション作家)

    つらいことや苦しいことがあっても、やっぱり生きることは素晴らしい――子どもたちにそう思ってもらえるよう、いのちを肯定する作品をつくり続けたのがやなせ先生です。「人生はよろこばせごっこ」という先生の言葉を思い出しながら審査をしました。生命の不思議さと世界の美しさを描き出す作家たちに出会えたことは、無上のよろこびです。
  • 立原 えりか(童話作家)

    みんなそれぞれ、一生懸命、仕事をしています。
    順位を決めることは、とても難しいです。
    みんな、1番!
  • 早川 史郎(作曲家)

    第3回やなせたかし文化賞は、こどもの文化に関わるさまざまな分野において高い評価を受けておられる方が候補となっており、その選定にあたり深い敬意と感動を抱きながら進めさせていただき幸せであった。
    その中で私が注目したのは「人間は音楽をどのように受容するのか」というテーマを多くの困難を乗り越え、するどく、きびしく、そして愛を込めて取り組んでいった「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の表現活動であった。
    現代のこどもたちはさまざまなメディアが発達するなかで「音楽」を耳からだけではなく、「目で聴いてからだで歌う」という能力を身につけてきたことがわかり研究が進んでいる。
    この受賞は「言語と音楽」という重大なテーマを残しつつもこれから取り組んでいかなければならないと思う。
  • 牧野 鈴子(イラストレーター)

    受賞作はどれも個性的で、完成度が高く、何かしら包み込むようなやさしさも含んでいて、それはやなせ先生の世界に通じるものでした。
    「リト@葉っぱ切り絵氏」の精密で楽しい表現、「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の子供たちの生き生きとした表情、「鈴木まもる氏」の丁寧で誠実な制作姿勢、「いわいとしお氏」のユニークな発想、「きくちちき氏」の大胆な画風の中の自然に対するやさしい眼差し…受賞者の皆さんの作品は、それぞれが人の心をつかむことでしょう。
  • 山根 青鬼(漫画家)

    受賞された作品は、全てやなせ先生の意志が感じられる内容でした。
    今回も素晴らしい作品に出会えた事を選定委員として嬉しく思います。
    有難うございました。